礫川公園――その名にふさわしく、時代の礫(つぶて)が幾度も降り積もった土地に、今は静かに緑が芽吹いている。江戸の昔、水戸徳川家の庭先であり、明治には軍靴の音が響いたこの場所が、いまや都市の胸ポケットのような西洋庭園として息づいている。
後楽園駅から出れば、まるで別世界。せせらぎが緩やかに中央を流れ、彫刻めいたオブジェが無言で歴史を見守る。ブランコに揺られる子どもたちは、時の川を渡って夢を見る。まさに、都会がひそかに隠し持つオアシスだ。
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